乳がんの早期発見
乳房の中にある乳腺にできる悪性の腫瘍が乳がんです。国立がん研究センターの「最新がん統計」(2017年度)によると、日本人女性の約9人に1人が一生のうちに乳がんを発症しています。「まだ若い」と思われる30代後半から乳がんになる人は増えてきます。
乳がんを確実に予防できる方法はありませんが、早期発見し早く治療を開始することにより小さな手術で済んだり、体への負担が少ない治療で終わることがあります。早い時期での手術により、乳房の切除などでの身体変化による精神的負担も小さくて済むことが多いのです。
乳がんはやがて肺、肝臓、骨などに転移するので、治療開始が遅くなると、全身への影響も大きくなります。
厚生労働省は、40歳以上の女性に2年に1度の乳がん検診を勧めていて、マンモグラフィー検査と医師による視触診が推奨されています。マンモグラフィーとは、乳房を板で挟んでX線撮影する検査方法で、早期がんのサインである石灰化の所見を見つける検査です。しかし、乳腺が発達している39歳以下の女性は、マンモグラフィーでは内部の様子が写りにくいため、乳房超音波検査(エコー検査)を勧める場合もあります。
定期的に乳がん検診を受けるとともに、月1回は自分で乳房に皮膚の変色、くぼみや部分的な膨らみがないかなど、鏡でしっかり確認します。さらに、乳房や脇の下を反対側の手指で丁寧に触診して、しこりに触れないか調べることも大切です。「毎月、生理後に」「毎月最終日」などと決めると良いでしょう。
自分で触ってしこりに触れたり、乳がん検診で「要精密検査」などと判定された場合は、「乳腺外科」もしくは「乳腺外来」のある医療機関を受診して検査を受けてください。
早期発見と早期治療で、完治できる可能性が大きい乳がんですから、定期的な検診と月1回の乳房自己触診はとても大切なのです。
健康科学アドバイザー●福田千晶
引用元「JA広報通信」