コラム日和
知って納得! 税金講座

雪下ろし費用の雑損控除

雪害などにも適用される雑損控除

雑損控除とは災害・盗難・横領(詐欺による被害は対象外)によって資産に損害を受けた場合や、これらに関連してやむを得ない支出をした場合に適用できる所得控除です。
あまり知られていませんが、この災害の中には雪害も含まれ、例えば雪による被害で多い自宅のカーポート(屋根と柱で作られた簡易的な車庫)の屋根が壊れた場合などにも適用できます。

雪下ろし費用も雑損控除の対象

はかなく美しい雪も、降り積もれば家屋を倒壊させるほどの重さになります。そのため、豪雪地帯にお住まいの方は、冬の間、雪かきや雪下ろし作業が欠かせません。そこで雪下ろし費用も、家屋の倒壊など雪害をあらかじめ防ぐものとして雑損控除の対象となっています。
具体的には雪下ろしのために人を雇った場合の賃金(生計を一にする親族や同一家内の親族を除く)や、雪下ろしに使用するスコップやスノーダンプなどの消耗品の費用などが対象となります。

雑損控除額の計算方法

雑損控除の金額は、次の①と②のいずれか多い金額になります。
①(災害などによる損失額‒保険金など)‒(総所得金額等×10分の1) ②災害関連支出の金額‒5万円
対象となる資産は、原則として本人または本人と生計を一にする配偶者やその他の親族(その年の総所得金額などが58万円以下である者)の保有する生活に通常必要な資産に限られます。
雑損控除は年末調整では適用できないため、適用を受けたい場合には必ず確定申告をしてください。令和7年分の所得税の確定申告は、令和8年2月16日から3月16日です。
雑損控除の適用などにより税額が減る申告(還付申告)の場合は、翌年1月1日から5年間提出できます。よって過去の損害や雪おろしの費用も5年間遡って還付申告(更正の請求)できます。ただし、金額の根拠となる領収書などが必要です。

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問税理士●柴原 一

引用元「JA広報通信」