コラム日和
身近な草木 和ハーブ入門

クコ 長寿伝説を持つ和ハーブ

クコの花と果実

「クコ」といえば、杏仁豆腐にちょこんとのっている赤い実のイメージがありますね。中国にしかないと思われがちですが、平安時代ごろには日本にも流入が見られ、現在も全国各地に分布する和ハーブです。

生命力が強く、土手や海岸沿いなど、日差しが強く一見厳しい環境でも元気に育ちます。都市部の道端では、道路へ飛び出している様子もよく見かけます。見分けるポイントは枝で、一本一本が株元から弓状に伸び、小さいながら鋭いとげがあります。そのため手で触れる際には気を付けましょう。また夏になると紫色をした星形の小花が付き、実った果実は徐々に赤く熟します。これがほんのり甘さを持つビューティーフルーツ、クコの実というわけです。

クコにまつわる逸話は数多くあり、徳川家の参謀であった天海僧正がクコを日々の食事に取り入れたおかげで108歳の天寿を全うしたという長寿伝説や、楊貴妃が美容と健康維持のために食べていたなどは非常に興味深いところです。中国最古の薬物書『神農本草経』にも「クコを久しく服すると筋骨をしっかりさせ、身を軽くして老いない」と紹介され、副作用が少なく毎日服用でき、効能も高い生薬である「上品(じょうほん)」の一つに分類されています。ちなみに、果実のみならず葉や根を含むクコ全体に滋養強壮作用が期待できます。

クコご飯は塩むすびにもお薦め

今回は、家庭でできる簡単クコご飯をご紹介します。葉が付いたままのクコの枝を数本、20cmほどにカットし、さっと水洗いします。洗った米と一緒に通常の水加減で炊飯し、炊き上がったら茎は外して、葉をしゃもじで混ぜ込みましょう。すると、えぐ味もなくモチモチ食感の、おいしいクコご飯の出来上がりです! 簡単ですので、ぜひ試してみてください。

植物民俗研究家/和ハーブ協会副理事長●平川美鶴

引用元「JA広報通信」