コラム日和
知って納得! 税金講座
30歳以上の非居住者の扶養控除

世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の流行も一定の落ち着きを見せ、海外で学ぶ機会を得る人が多くなっています。以前から、国外居住親族の扶養控除の適用における所得要件等の判定について、要件を満たしているかどうかを正確に確認できないまま適用されているのではないかという指摘がありました。この問題を少しでも是正するため、適用対象者の見直しが行われ、令和5年から適用されています。
原則として、国外居住親族のうち、30歳以上70歳未満の者は除外されます。ただし、例外として次の①~③のいずれかに該当する場合には、30歳以上70歳未満の国外居住親族であっても、扶養控除の適用対象となります。
①留学により日本に住所及び居所を有しなくなった者 ②障害者 ③扶養控除の適用を受ける者から、その年の生活費または教育費に充てるための資金として、38万円以上の支払いを受けている者
扶養控除の適用を受けるためには「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出する必要があります。さらに要件①の者は留学ビザ等の書類、要件③の者は送金額が分かる書類を提出します。なお、提出書類が外国語で書かれていた場合には、日本語訳を付ける必要があります。
送金時の注意事項としては、現金を手渡しした場合には送金の有無を証明することができません。手渡しは避けた方が良いでしょう。また、複数の親族分をまとめて代表者1人に送金した場合には、その代表者のみの送金関係書類しか存在しないため、他の者は扶養控除の適用を受けることができなくなってしまいます。手数料はかかりますが、それぞれ各人ごとに送金しましょう。
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
引用元「JA広報通信」