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事業用資産の買い換え特例に関する届出書

事業用資産の買い換え特例とは、一言で言うと「課税の繰り延べ」です。手持ちの事業用資産を売却し、一定期間内に要件を満たした買い換え資産を取得すると、本来であれば売却時に課税される所得税を、買い換え資産を売ったときにまで先送りすることができます。事業用資産の特例ですから、自分で使っている資産や親族に無償で貸している使用貸借の資産には適用できません。適用するためには、譲渡資産と買い換え資産とが一定の組み合わせに当てはまるものであることが要件です。例えば、一番よく使われる組み合わせが3号買い換えと呼ばれるもので、譲渡資産は「国内にある土地等または建物等で、その年1月1日において所有期間が10年を超えるもの」、買い換え資産は、「国内にある土地等(事務所等の一定の建築物の敷地の用に供されているもののうちその面積が300平方m以上のものに限る)、建物または構築物」であることが要件です。

さて、令和6年4月1日からこの特例の適用を受ける場合には、事前に届出書の提出が必要になりました。同日以後に譲渡資産の譲渡をし、かつ、同日以後に買い換え資産の取得をする方が対象です。提出時期は、譲渡資産の譲渡の日または買い換え資産の取得の日のいずれか早い日を含む左記3月期間の末日の翌日から2カ月以内です。

  • 1月1日~3月31日までに譲渡または先行取得した場合……5月末日
  • 4月1日~6月30日までに譲渡または先行取得した場合……8月末日
  • 7月1日~9月30日までに譲渡または先行取得した場合……11月末日
  • 10月1日~12月31日までに譲渡または先行取得した場合……翌年2月末日

つまり、いずれの場合も確定申告書の提出期限より前に届出書の提出期限が来てしまいます。使う機会は限られていますが、適用要件に合う場合には大きな節税になる特例です。「届出書を出していなかったため適用できなかった」とならないように気を付けましょう。

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

引用元「JA広報通信」