ハッカ 涼しさを届けるハーブ
ハッカ(薄荷)はいわゆる「和のペパーミント」で、一般的なミント類に比べメントール成分を多く含むのが特徴です。スーッとした強い清涼感と独特の香りがハッカの最大の魅力といえます。
シソ科の多年草で、葉はのこぎり歯があって対生し、茎は四角く細かい毛があります。そして夏に、葉の付け根の節の周りに小花を付けます。他のミント類と交雑しやすいことから、家庭ではプランターで区分けして栽培しておくと、キッチン和ハーブとして身近で使いやすく、日々の暮らしに役立ちます。
特に暑さで食欲が落ちやすい残暑の時期、ハッカの葉と花を一緒に摘んでフレッシュ和ハーブティーを作ったり、サラダに添えたり、ゼリーにしたり、お酒に漬けて自家製リキュールにしたりなど幅広く楽しめます。飲食することで胃腸の働きを助け、吐き気や目まいを和らげてくれる作用が期待できます。
この時期は、暑さからシャワーで済ませがちなお風呂ですが、家庭用の浴槽にハッカ油を4、5滴入れてかき混ぜてから入浴すると、ハッカが血管を拡張させて血の巡りを促し、肌に触れたときの気化熱によって湯上がりがひんやり、さっぱりとします。
なお、江戸期の数多くの文書には、重要な薬用植物として「薄荷」の文字が見られます。葉から採れる油の価値が高く「薄い(少ない)荷でももうかる作物」とのいわれもあるほどで、明治期には日本が薬用メントール市場の世界シェア7割を占めましたが、現在はそのほとんどを海外からの輸入に頼っています。
ハッカから抽出した結晶(薄荷脳)は、ハッカ風味の食品や医薬品、歯磨き粉などに用いられています。メグサ、メハリグサなどの別名もあるのですが、目元にハッカの葉を貼るとスッキリすることからきているようです。
植物民俗研究家/和ハーブ協会副理事長●平川美鶴
引用元「JA広報通信」