事業税の取り扱い
事業税とは、事業を営む個人や法人に課される地方税です。個人事業税は基本的に年2回に分けて納め、納期限は原則8月末と11月末です。
個人事業税は、対象となる業種が決まっています。法定列挙された70業種によって、3~5%の税率で事業税が課される仕組みで、不動産貸付業は「10棟以上の貸し付けまたは10室以上の貸し付け」を行っている場合に事業税の対象となり、税率は5%です。不動産所得の事業的規模の判定に使う5棟10室基準と混同しやすいので気を付けましょう。なお農業や林業は、上記70業種に入っておらず課税除外の取り扱いを受けます。
個人事業税の計算方法は、所得税の計算と似ていますが、少しだけ違いがあります。代表的な違いとして、所得税における基礎控除などの所得控除や青色申告特別控除が個人事業税にはありません。代わりに、一律290万円の事業主控除があります。つまり、個人事業の所得が290万円以内であれば、事業主控除でゼロになり個人事業税はかかりません。しかし290万円を超えると、その超えた部分の所得に対して3~5%の個人事業税が課されます。
不動産賃貸業の場合、一般的に築年数が経過していくと、減価償却費が少なくなる、借入金の利子の額が減る、などの理由により必要経費が減り、結果的に所得が増える傾向にあります。前年までは課税されていなかった事業税の納税通知書が、今年から突然送られてきて驚く方もいらっしゃいますが、先述した理由などにより必要経費が減り、事業税の課税対象となり通知が来たのでしょう。
支払った個人事業税は、所得税の計算上必要経費に計上できます。支払済みの納付書などの書類は、確定申告の際に使いますので、大切に保管してください。
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
引用元「JA広報通信」