コラム日和
知って納得! 税金講座
駐車場のアスファルトの贈与
自分以外の名義の土地を使わせてもらう場合には、契約書を交わし、借り主は決められた賃料を支払います(賃貸借)。しかし家族やごく近しい親族などの名義の土地を無償(または固定資産税相当額以下の金額)で借りるケースもあります。この状態を使用貸借と呼びます。
では、親名義の賃貸アパートと土地があったとします。賃貸アパートを子に贈与し、土地を子に使用貸借した場合、この賃貸アパートの収入は誰に帰属するのでしょうか。
この場合には、贈与により賃貸アパートの所有者となった子に収入が帰属し、子の不動産所得として申告します。
次に、似たようなケースで親名義のアスファルトと土地があったとします。アスファルトを子に贈与し、土地を子に使用貸借した場合の駐車場収入はどうなるのでしょうか。
前述のアパートの収入が子に帰属するのだから、駐車場の収入も子に帰属するのでは? と思いますよね。
しかし、去る令和4年7月20日、類似ケースの大阪高裁の判決によれば「土地とアスファルトは切り離せない。土地だけの使用貸借は成立しない」という内容でした。
アスファルトは税務上、構築物に該当し減価償却資産として取り扱われます。耐用年数は10年です。しかし、これは減価償却のため便宜上、土地とアスファルトを別資産として扱っているにすぎず、民法上は「土地とアスファルトは一体である」という考え方です。従ってアスファルトのみの贈与は認められず、駐車場の貸し付けによる賃料は所有者である親の不動産所得になります。
今後この判決が一つの指針になっていくと思われるので、類似ケースで申告している方はご注意ください。
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
引用元「JA広報通信」