コラム日和
知って納得! 税金講座

申告書等の閲覧サービス

前回、相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間が、3年から7年に延長される改正(令和6年1月1日以後の贈与から適用)についてご紹介しました。

生前に贈与された財産を相続財産に加算した場合には、贈与税の申告時に支払った贈与税があるときは、相続税額から控除できます。これを贈与税額控除といいます。この相続税の生前贈与加算や贈与税額控除を正確に行うためには、やはり過去に提出した贈与税の申告書が必要です。

ところが、贈与税の電子申告率はまだまだ低く、紙で申告している方が多数いらっしゃるのが現状です。電子申告であれば、申告内容がデータで残りますが、紙で申告している場合には申告書の控えをご自身で保管しておかなければなりません。そして、相続はいつ起こるか分かりません。例えば、「親から贈与により財産を取得し贈与税を納めたが、まだまだ親は元気だったので、まさか3年以内(今後は7年以内)に相続が発生すると思わず、贈与税申告書の控えを紛失してしまった」というケースなどもあります。こういった場合には申告書等閲覧サービスを利用すると良いでしょう。

申告書等閲覧サービスとは、ご自身が提出した行政文書(各種税金の申告書、申請書、届出書など)で税務署などで保管されているものを閲覧できる制度です。ただしあくまで「閲覧」であるためコピーを取ることはできません。写真撮影は申請すれば可能です。閲覧の申請は、お住まいの所轄の税務署の窓口に赴き行います。委任状などの必要書類をそろえれば、代理の方が行うことも可能です。

 「申告書の控えがない、どうしよう……」となったときは、「申告書等の閲覧ができる」とぜひ覚えておいてください。

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

引用元「JA広報通信」