コラム日和
知って納得! 税金講座

インボイスに関する税制改正案

令和5年度税制改正案が公表されました。インボイス(適格請求書)に関連する項目をいくつかピックアップしてご紹介いたします。

1. 免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の負担軽減措置

免税事業者であった者がインボイス発行事業者となったため、免税点制度を適用できない期間については、その期間の納税額を売り上げ税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置が設けられました。具体的には、簡易課税方式と同様にみなし仕入れ率を80%として計算してもよいということです。ただし、今まで免税事業者だった者がインボイス発行のため課税事業者となる場合に限られます。

2. 「インボイス発行事業者登録制度」の見直しと「手続きの柔軟化」

まず「登録制度の見直し」についてですが、インボイス制度がスタートする令和5年10月1日からインボイスを交付するためには、令和5年3月末までに登録申請書を提出し、間に合わなければ「困難な事由」を記載する必要がありました。しかしあえて「困難な事由」を記載することは求めず4月以降も登録申請を可能とする、という内容です。つまり4月以降も登録申請はつつがなく受け付けられるということです。次に後半の「手続きの柔軟化」という点ですが、①の適用を受けた事業者が①の適用期間中や適用期間後に簡易課税制度を受けたい場合に、本来であれば事業年度が始まる前に提出しなければならなかった選択届出書が期中提出でも認められることになりました。

3. インボイス保存要件の緩和

基準期間の課税売上高1億円以下の事業者について、制度施行から6年間は1回の取引が1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても一定の帳簿の保存をしていれば、仕入税額控除が可能となります。これは、中小・個人事業者の事務負担に配慮した取り扱いです。

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

引用元「JA広報通信」