コラム日和
知って納得! 税金講座

亡くなられた方がいた場合の扶養控除

16歳以上の生計を一にする親族で、その年の合計所得金額が48万円以下の者を扶養している場合には控除対象扶養親族に該当し、年齢や同居の有無などに応じて38万~63万円の扶養控除を受けることができます。「生計を一にする」とは、「イコール同居」ではありません。一人暮らしの大学生や、遠方の親を扶養している場合にも当てはまります。控除対象扶養親族に該当するか否かの判定は、その年12月31日の現況により判断します。

では、年の中途で亡くなられた場合にはどうなるでしょうか。例えば、不動産賃貸業を営む夫Aが5月に亡くなったとします。Aには、妻Bと息子C(20歳・大学生・生計一・合計所得金額48万円以下)がいて、Aの不動産賃貸業はBが承継しました。このケースではまず、Aのその年1月1日から亡くなった日までの所得を確定し、準確定申告を亡くなった日から4カ月以内に行います。その際には死亡時の現況(所得については死亡時の現況により見積もった1年分の合計所得金額)により判断し、Aが亡くなった時点でCがAの特定扶養親族に該当する場合には、Aの準確定申告において扶養控除63万円(月割り計算は行わない)が適用できます。次に、Aから相続した賃貸用不動産の所得を、Bは翌年2月16日から3月15日までに確定申告します。その際には、その年12月31日の現況によりCがBの特定扶養親族となるかを判断し、該当した場合にはBの確定申告時にも扶養控除63万円が適用可能です。

なお、控除対象扶養親族が亡くなった場合も考え方は同じです。例えば、老人扶養親族に該当する親と同居していて、その年の中途で亡くなったとします。この場合には、その年12月31日の現況によるとすでに亡くなっているため扶養控除できないと思いがちですが、死亡時の現況により判断し、亡くなられた年までは扶養控除58万円を適用できます。

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

引用元「JA広報通信」